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節分は地域で違いがある!興味深い特色や風習とは?

2018年12月25日

節分は地域で違いがある!興味深い特色や風習とは?

こんにちは!茨城県の村松山虚空蔵堂です。

 

「鬼は外、福は内!」と豆をまいて厄払いをし、その豆を年の数だけ食べて新しい年の無病息災を祈る節分行事。

 

実は豆まきの掛け声や風習は、地方によって様々です。

今回はそんな節分行事の地域による違いや特色についてご紹介します。

 

 

地域によって違う!面白い節分の掛け声や風習

節分と言えば「鬼は外、福は内」の掛け声とともに豆まきをしますが、この掛け声、ちょっと変わった掛け声をかける地域もあるんです。

なんと「鬼は内」と言う地域も!

地域に残る言い伝えなど、鬼に対する考え方で異なってくる場合があります。

 

群馬県の鬼石地域は「福は内、鬼は内」

群馬県の鬼石地域は「鬼が投げた石で町ができた」という言い伝えがある地域。

悪い鬼ばかりでなく良い鬼もいると考えられているため、「鬼は内」と鬼を招き入れる掛け声をかけます。

 

 

紀伊半島や伊勢志摩地域は「鬼は内、福は内」

昔、この地域を治めていた領主が九鬼(くき)という名前だったそう。

そのため「鬼は外」とは言えず、「鬼は内、福は内」という掛け声になったそうです。

 

 

旧二本松地域(現在の福島県二本松市)は「福は内、鬼、外」

丹羽という名前の領主がいたため、「鬼は外」だと「お、丹羽外」と聞こえてしまうため、そう聞こえないように「鬼、外」という言い方になりました。

 

 

鬼子母神を祀る地域は「鬼は内」

安産や子育ての神として有名な鬼子母神を祀るエリアでも、鬼を招き入れる言い方をします。

 

また、長い歴史のある京都では、節分でちょっと変わった風習もあります。

祇園の節分お化け

節分の夜に違う年齢や違う性など普段と異なる姿をすることで、鬼の目をだまして鬼たちをやり過ごすことができるという厄払い行事です。

ハロウィンの仮装のようなイメージですね。

 

 

「渡辺さん」は豆をまかなくても良い

平安時代に「渡辺綱(わたなべのつな)」という強い武将が鬼退治をしたという伝説が由来です。

それ以来、鬼は「渡辺」が怖く、「渡辺」という名前を見ただけで逃げだすので豆をまく必要がないと言われています。

 

 

節分は地域ごとに豆や食べ物も変わる!

地域ごとに変わるのは掛け声や風習だけではありません。

地域によってまく豆の種類や節分で食べるとされる食べ物も変わります。

 

【北海道、東北地方】大豆ではなく落花生をまく

北海道や東北地方では大豆ではなく落花生で豆まきを行います。

雪の多い地域では、大豆よりも大きな落花生の方が、豆をまいた後に拾いやすく掃除が楽だからと言われています。

 

 

【関西地方】福を巻き込む「恵方巻」を食べる

全国に広まっている海苔で巻いた巻き寿司「恵方巻」は、実は関西地方が発祥!

その年の恵方を向いて無言で食べると福を招くと言われています。

食べるものも巻き寿司に限らず、ロールケーキなど巻いてあるものを食べるなどバリエーションが広がっています。

 

 

【関東地方】けんちん汁を食べる

もともとは精進料理だった「けんちん汁」。

寒い冬に体を温める冬の行事食でしたが、後に節分にけんちん汁を食べるという習慣に変化していったようです。

 

 

【四国地方】便秘に効く食べ物を食べる「腸の砂おろし」

節分の2月3日は旧暦の大晦日にあたります。

大晦日と言えば大掃除。

四国地方ではこんにゃくやナマコなど、便秘に効くとされる食べ物を食べて体の中もきれいにすると言われています。

 

 

【京都など西日本】厄除けとして鰯(いわし)を食べる

鰯(いわし)の独特の匂い、鰯を焼く時の煙が鬼を退けると言われ、厄除けとして鰯を食べる風習が残る地域があります。

 

この鰯に関しては、「柊鰯(ひいらぎいわし)」という玄関先に飾る風習もあります。

地域によっても差があるので、次に詳しくお話しますね!

 

 

節分の柊鰯(ひいらぎいわし)も地域で違いが?

柊鰯

節分では魔除けとして主に関東の一部や関西地方、東北地方などで、柊の小枝の先に焼いた鰯の頭を刺した「柊鰯(ひいらぎいわし)」を玄関先に飾る風習があります。

インパクトのあるこの風習、一度は聞いたことがあるでしょうか。

柊のトゲトゲした葉が鬼の目に刺さり、鰯の匂いを鬼が嫌うからと言われています。

 

この柊と鰯の飾り方や飾る期間も地方によって差がある場合があります。

 

【飾り方の違い】

・焼いた鰯の頭を飾る
・焼いた鰯の尻尾の部分を飾る
・焼いた鰯一匹丸ごと飾る
・鰯ではなくニンニクやラッキョウを飾る

 

 

【飾る期間の違い】

・2月3日から2月の終わりまで
・1月15日(小正月)から2月4日(立春)まで
・2月3日の当日のみ
・2月3日から翌年の節分まで

 

 

【処分方法の違い】

・灰になるまで焼いて玄関前に盛る
・玄関先に埋める
・塩で清めてから半紙に包んで捨てる
・神社でお焚き上げをしてもらう

 

柊鰯にも、細かく地域によって違いがあるのは興味深いですよね。

現代では住宅事情などもあり、柊鰯を玄関先に飾る家も少なくなっていますが、その代わりの市販の飾りを室内に飾ったり夕食に鰯を食べたりという形で取り入れている家庭も少なくないようです。

 

もし引っ越す場合があればこの地域ではどんな方法で行っているのか、聞いてみるといいですね。

 

 

まとめ

・豆まきをして新しい年の厄除けをする節分ですが、地域によって豆まきの掛け声や風習が異なります。「鬼は外」とは言わない地域や「鬼は内」と言う地域などもあります。

 

・北海道や東北地方では節分では大豆ではなく落花生をまくことがあります。また、恵方巻やけんちん汁、こんにゃくなど節分の行事食として食べる食べ物も地域によって特色があります。

 

・厄除けとして柊鰯を玄関先に飾る風習がありますが、この風習も地域によって飾り方や飾る期間、処分方法が異なります。

 

 

茨城県の村松山虚空蔵堂は平安時代に空海(弘法大師)によって創建された寺院です。

茨城では「村松の虚空蔵さん」と呼ばれて親しまれ、十三詣りをはじめ初詣や七五三など様々な年中行事で護摩祈祷を行っています。