村松虚空蔵尊だより
2024年01月09日
こんにちは!茨城県の村松虚空蔵尊です。
2月3日は節分です。
ご自宅で「鬼は外、福は内」と豆まきをした経験がある方も多いでしょう。
ところで、節分のルーツや意味をご存じですか?
今回は、節分のルーツといわれる「追儺(ついな)」についてご紹介します。
追儺の歴史やどのようなことを行うかを知り、節分への理解を深めましょう。
聞き慣れない「追儺(ついな)」という言葉に、興味を引かれた方も多いと思います。
奈良時代に伝わったといわれている「追儺」という行事は、節分のルーツとされています。
まずは、「節分」の本来の意味から確認しましょう。
「節分」は文字通り「季節の分かれ目」という意味です。
現在では2月3日のみを指しますが、昔は「立春」「立夏」「立秋」「立冬」それぞれの前日のことを「節分」と呼んでいました。
「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は新しい季節が始まる日であり、その前日は「季節の分かれ目」に当たるからです。
四季の中でも最も重要視されていたのは「立春」です。
春の訪れは新しい一年の始まりでもあり、特に待ち望まれていた季節でした。
徐々にこの考え方が強まり、現代では立春の前日のみを「節分」というようになったとされています。
追儺とは、宮中で行われていた鬼を払う儀式のことです。
別名「鬼儺(おにやらい)」とも呼ばれ、そもそもは古来中国の宮廷で大晦日に行う行事でした。
旧暦の正月は立春なので、この場合の大晦日は節分のこと。
昔は季節の変わり目には邪気(鬼)が生じ、鬼がさまざまな不幸や災をもたらすと考えられていました。
「追儺」には、季節の変わり目である節分に鬼を追い払い、新しい年を病気や災いのない穏やかな年にする願いが込められていたのです。
追儺が日本に伝わったのは奈良時代のこと。
奈良時代の歴史書「続日本紀(しょくにほんぎ)」には706年に初めて追儺の儀式が行われたという記載があります。
さらに平安時代には、陰陽師(おんみょうじ)による宮中の鬼祓いが盛んになり、広く世間に伝わっていったとされています。
追儺は節分のルーツではありますが、「鬼は外、福は内」と言いながら、豆をまいて鬼を退治するのではありません。
鬼を追い払うのは「方相氏(ほうそうし)」の役目でした。
方相氏は四つ目の四角い仮面をつけており、見た目こそ鬼のようですが、役割はその逆。
わたしたちの目では見えない鬼を追い払うことができるとされています。
追儺では、方相氏が鬼を宮中から外へ追い出し、さらに鬼を都の外へと追いやるために貴族たちが矢を放って応援します。
このときの貴族の弓は桃、矢は葦(あし)でできていました。
これは桃には鬼を払う力が、葦の矢には魔除けの力があると考えられていたからです。
その後、追儺の行事は時代とともに、少しずつ変化していきます。
平安時代末期には方相氏の立場が逆転し、鬼を追い払う役目から鬼として追われる存在へとなりました。
これには方相氏には葬儀に関わる役目もあったため、縁起が悪いと思われるようになったのではないか、という説があります。
この頃はまだ豆まきは行われておらず、豆まきがいつ頃始まったのかは明確ではありませんが、江戸時代には完全に定着したと考えられています。
なぜ、豆をまくようになったかには諸説あり、主な説は次の通りです。
節分の習わしについては「節分の歴史や由来、慣わしを知る」で解説しています。
正しい豆まきの方法もご紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
現在では、追儺よりも節分のほうが広く知られていますが、なくなってしまったわけではありません。
「追儺」という名を用いて豆まきを行なっている寺院もあります。
村松虚空蔵尊でも、節分に「節分会追儺式(せつぶんえついなしき)」を行なっております。
裃(かみしも)姿の年男、年女の方々が護摩祈願を行なったあと、無病息災・攘災招福を祈願してご本尊の前で豆まきを行います。
その年の健康と幸せを願う行事ですので、ぜひご参加ください。
●節分のルーツである「追儺(ついな)」は古来中国の宮廷で大晦日に行われていた鬼を払う行事です。日本へは奈良時代頃に伝わり、旧暦の節分は大晦日に当たるため、新しい年の厄災を払う伝統行事として、定着しました。
●追儺は豆まきで鬼を払う行事ではなく、「方相氏(ほうそうし)」が鬼を払う行事でした。貴族たちは桃の弓や葦の矢で方相氏を応援していましたが、時代とともに現在の節分のような形へと変化しました。豆まきの風習はいつから始まったのかは定かではありませんが、江戸時代には完全に定着したとされています。
茨城県の村松虚空蔵尊は平安時代に空海(弘法大師)によって創建された寺院です。
茨城では「村松の虚空蔵さん」と呼ばれて親しまれ、節分追儺式をはじめ、厄除けや七五三、お宮参り、方位除けなどさまざまな年中行事で護摩祈祷を行なっています。
ぜひご来山ください。