村松虚空蔵尊だより
2024年01月11日
こんにちは!茨城県の村松虚空蔵尊です。
「鬼は外、福は内」と豆をまき、鬼を退治する節分。
子どもから大人まで参加する親しみのある行事ですが、その歴史や由来をご存じですか?
今回は節分に鬼が来る理由や、鬼に向かって豆を投げる理由について解説します。
節分を迎える前にぜひご確認ください。
節分になぜ鬼が来るのか、知らない方も多いかもしれません。
まずは、節分の由来から確認しましょう。
鬼の色による意味の違いもあるので、一緒にお伝えしますね。
節分は「立春の前日に鬼を追い払い、一年間の無病息災を願う」行事です。
旧暦では立春は新年の始まりのため、その前日である節分はいわば大晦日のようなもの。
一年の締めくくりに鬼を追い払い、新しい年が病気や災いのない穏やかな年にする願いが込められています。
節分はそもそも「追儺(ついな)」と呼ばれる行事にルーツがあるといわれています。
追儺は、平安時代に宮廷で行われていた儀式で、殿上人(てんじょうびと)と呼ばれる身分の高い貴族が弓や矢を用い、鬼を追い払うというものです。
鎌倉時代以降、追儺はだんだんと宮廷では行われなくなりましたが、時代とともに現在のようなスタイルとなり、庶民にも浸透していきました。
追儺については、「追儺(ついな)とは?節分のルーツとなった歴史をご紹介」もぜひ読んでみてくださいね。
節分に鬼が追い払われるのは、鬼が邪気と考えられているからです。
邪気とは、さまざまな災いの原因のこと。
昔の人は災害や飢饉、病などの人の力を越えた恐ろしい出来事は鬼の仕業だと考えていました。
なかでも季節の変わり目は、特に邪気が入りやすいとされていた時期。
そのため、年の変わり目である節分に邪気の象徴である鬼を追い払う行事が定着しました。
鬼といえば、赤い鬼や青い鬼が思い浮かぶという方も多いでしょう。
しかし、鬼の色はその2色だけではありません。
実は、鬼には5色の種類があります。
これは仏教の「五蓋(ごがい)」と呼ばれる「5つの煩悩」に当てはめられたもの。
それぞれの煩悩の中から自分が打ち勝ちたいものを選び、その色の鬼を追い払うと良いともいわれています。
鬼の色ごとにある煩悩を、ご紹介します。
赤鬼が表すのは「貪欲」。
人間が持つあらゆる欲望を表しています。
すべての悪の象徴でもあり、最も目にすることが多い鬼です。
青鬼が表すのは「憎悪」。
怒りや悪意、憎しみを表しています。
緑鬼が表すのは「不健康」。
眠気や怠慢、やる気が出ないことなどもここに含まれます。
黒鬼が表すのは「疑惑」。
自分や他人を疑う心や愚痴、矛盾した言動などを表します。
黄鬼が表すのは「後悔」。
自己中心的な甘えや浮ついた心、動揺などの意味も持ちます。
「節分の「おかめ」の意味や由来、鬼との関係とは?」では、鬼と同様に節分によく見かける「おかめ」についてもご紹介しています。
ぜひ参考にしてくださいね。
節分といえば、鬼と同様に大きな存在なのが「豆」。
では、なぜ鬼を追い払うのに豆まきするのか、ご存じですか?
ここでは、節分に豆を投げる理由を確認します。
日本では古くから「米、麦、ひえ、あわ、大豆」は「五穀(ごこく)」と呼ばれ、「穀霊(こくれい)」と呼ばれる精霊が宿ると考えられています。
五穀には生命力と魔除けの力が備わっているという信仰もあり、お祓いやお清めにもしばしば用いられていました。
五穀の中で、最も粒が大きく硬いのが大豆。
恐ろしい鬼を払うのにはぴったりだとされ、豆を投げるようになったといわれています。
そのほか、「豆には魔滅(まめ)(=魔を滅する)という意味があるから」という説や、「中国の医書に「豆は鬼毒を消して痛みを止める」と書いてあるから」という説もあります。
豆まきのあとには、一年の無病息災を願って自分の年齢の数、または数え年の数の豆を食べます。
豆のほかにも、節分に食べると縁起が良いとされる食べ物があります。
その食べ物を縁起が良いとされる理由と一緒にご紹介します。
関西地方を中心に一部の関東、東北地方では節分にいわしを食べる風習があります。
いわしのにおいや焼いたときの煙は鬼を遠ざけるとされていました。
いわしの頭を焼き、柊(ひいらぎ)の枝を刺した「柊鰯(ひいらぎいわし)」を玄関に飾る風習がある地域もあります。
今や節分の定番ともいえる恵方巻は、もともとは関西の一部で行われていた風習です。
節分の夜にその年の恵方を向いて無言で食べ、無病息災を願います。
切らずに丸かじりするのは「福を断ち切らぬように」するため。
恵方巻の具材は、七福神にちなみ七種類入れると良いといわれています。
関東地方には節分にけんちん汁を食べる地域があります。
けんちん汁は、七福神の恵比寿様を祝う「えびす講」や「初午(はつうま)」などでふるまわれていた料理です。
体を芯から温めてくれるため、寒い節分にも食べられるようになりました。
もともとは精進料理だったのもけんちん汁が節分に食べられるようになった理由の一つです。
四国を中心とした地域では、節分にこんにゃくを食べる風習があります。
食物繊維が豊富なこんにゃくは、体のなかをきれいにしてくれるため、体内の毒素を排出する意味があります。
節分に福茶を飲むのは京都を中心とした関西や静岡県で見られる風習です。
福茶とは湯飲みに福豆(炒った大豆)、梅干し、昆布を入れ、お茶を注いだもの。
豆は「まめまめしく働く」、梅干しはおめでたい松竹梅のひとつ、昆布は「よろこぶ」などの意味があり、無病息災を願って飲まれます。
「節分の歴史や由来、慣わしを知る」では、食べ物以外の節分の風習についてもご紹介しています。
こちらも、ぜひ参考にしてください。
●「追儺(ついな)」と呼ばれる行事にルーツのある節分は、旧暦の大晦日に鬼を払い、新しい年の無病息災を願うものです。さまざまな疫病や災害は鬼の仕業だと考えられていたため、鬼を追い払うことで病気や災いのない穏やかな年にしようという願いが込められています。鬼は大きく五色に分けられ、この色は仏教の「五蓋(ごがい)」と呼ばれる「五つの煩悩」に当てはめたものです。節分では自分が打ち勝ちたい煩悩を選び、その色の鬼を追い払うと良いともいわれています。
●節分で鬼に豆を投げるようになったのは五穀と呼ばれる穀物の中で、「大豆が最も大きく硬いから」や、「豆には魔を滅するという意味があるから」などといわれています。そのほか、いわし、恵方巻き、けんちん汁なども節分に食べると縁起が良いとされています。
茨城県の村松虚空蔵尊は平安時代に空海(弘法大師)によって創建された寺院です。
茨城では「村松の虚空蔵さん」と呼ばれて親しまれ、節分追儺式をはじめ、厄除けや七五三、お宮参り、方位除けなどさまざまな年中行事で護摩祈祷を行なっています。
ぜひご来山ください。