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七五三の小物の意味とは?伝統に込められた願いをご紹介

2025年11月04日

七五三の小物の意味とは?伝統に込められた願いをご紹介

こんにちは!茨城県の村松虚空蔵尊です。

 

七五三は、子どもの健やかな成長に感謝し、これからの幸せを祈る日本の伝統行事です。

 

華やかな衣装に身を包む子どもの姿は、見ているだけで心が温まりますね。

 

実は、七五三で身に着ける小物には、さまざまな願いが込められていることをご存じでしょうか。

 

今回は、そんな装いを彩る小物の意味や身に着け方を、七五三の由来とともにご紹介します。

 

 

七五三にはどんな意味がある?七五三の由来を確認

七五三の由来は、平安時代の宮中行事にさかのぼります。

 

当時は子どもの死亡率が高く、「7歳までは神の子」とされていました。

そのため、3歳、5歳、7歳の節目を迎えることは大きな喜びであり、無事な成長を仏様や神様に感謝する儀式が行われていたのです。

 

七五三の3つの儀式にはそれぞれ意味があります。

 

  • 3歳「髪置(かみおき)」:剃っていた髪を伸ばし始める儀式。健康や長寿を祈る
  • 5歳「袴着(はかまぎ)」:男の子が初めて袴を着る儀式。社会の一員として少年への仲間入りの象徴
  • 7歳「帯解(おびとき)」:女の子が付け紐を外し、大人と同じ帯を締める儀式。大人の女性への第一歩のあかし

 

これらの儀式が「七五三」として定着したのは江戸時代の頃です。

 

かつて宮中の行事だったものが、時を経て庶民にも広まり、現代では子どもの成長を祝い感謝する行事として受け継がれています。

 

七五三の由来については「七五三の意味や由来は?それぞれの年齢の意味も」でも詳しくご紹介しています。

 

 

七五三の小物にはどんな意味があるかをご紹介

七五三の衣装

七五三の装いに欠かせない小物には、それぞれに願いや祈りが込められています。

代表的なものをご紹介します。

 

筥迫(はこせこ)

7歳の女の子が身につける小さな箱型の装飾品です。

もともとは武家の女性が懐紙や鏡、お香などを入れていた小物入れで、七五三以外のお祝いの場でも飾りとして用いられています。

七五三では、子どもの成長を願う象徴ともされています。

 

志古貴(しごき)

7歳の女の子が身につける長い布の飾り帯です。

古くは裾をたくし上げるためのものでしたが、のちに礼装の一部として取り入れられ、現在では晴れの日の装いを華やかに仕上げる飾り帯として使われています。

赤やピンクなど明るい色が多く、成長を祈るものとされています。

 

扇子(せんす)

男女ともに用いられる縁起の良い小物です。

末広がりの形から「将来が広く明るく開けるように」という願いが込められています。

扇の文様にも意味があり、例えば鶴や亀は長寿、松竹梅はめでたいものを象徴します。

 

懐剣(かいけん)

主に5歳の男の子が身につける、短い刀を模した飾り小物です。

もともとは武家の女性が護身用に持ち歩いていた小刀が起源とされています。

懐剣は「自分の身を守る」が転じた自立や勇気の象徴であり、魔除けの意味があるお守りの役目もあります。

 

羽織(はおり)・羽織紐(はおりひも)

5歳の男の子が着物の上に羽織る上着です。

羽織には兜や鷹、龍などの柄が描かれることが多く、「力強く、勇敢に育ってほしい」という願いが込められています。

胸の前で羽織を留める「羽織紐」は飾りの役目もあり、「願いが叶う」の意味をこめて叶結びにすることが多いです。

 

簪(かんざし)・髪飾り

3歳や7歳の女の子が髪に挿す装飾品です。

もともとは魔除けの意味を持ち、七五三においては邪気を払って健やかな成長を願う小物です。

 

七五三の小物の身に着け方は?

七五三の小物は、それぞれ身に着ける場所や方法が決まっています。

それぞれの小物が持つ願いを大切にしながら、丁寧に装うことで、七五三がより特別になります。

 

ここでは代表的な小物の身に着け方をご紹介します。

 

筥迫(はこせこ)

着物の襟元に水平に挿します。

着物の襟と平行になるように差し込むのがポイントです。

筥迫にはびら簪(びらかんざし、通称びらかん)をつけて使用すると、より華やかな印象になります。

 

志古貴(しごき)

帯の下に通して後ろで結び、斜め後ろに垂らします。

帯の周りを華やかに見せるための装飾なので、バランスよく垂らしましょう。

 

扇子(せんす)

女の子は帯と着物の間に差すのが一般的ですが、帯と帯揚げに差す場合もあります。

男の子は手に持つか袴の帯に差すのが一般的です。

いずれの場合も、扇子を大きく広げず、控えめに見せると上品です。

 

懐剣(かいけん)

袴の帯と着物の間にやや左側に傾けて差します。

柄(つか)の部分が少し見えるようにすることで、礼装らしいきりっとした印象になります。

 

羽織(はおり)・羽織紐

着物の上に羽織を重ね、胸の前で羽織紐を留めます。

羽織紐は飾りの位置が左右対称になるように整え、ねじれがないか確認しましょう。

 

簪(かんざし)・髪飾り

髪型に合わせて、正面や横、後ろに差します。

びら簪や花飾りは動くたびに揺れるため、顔まわりに飾ると華やかさが引き立ちます。

左右の高さをそろえると、写真撮影でもきれいに写ります。

 

七五三の装いや小物の意味を知ると、行事全体の準備もより楽しめます。

 

以下のコラムでは、兄弟姉妹での七五三の進め方や、地域ごとの風習、費用の目安なども詳しくご紹介しています。

お祝いの計画を立てる際に、ぜひあわせてご覧ください。

 

七五三で兄弟姉妹まとめて行うのは可能!メリットや衣装のポイント

七五三で地域による違いはある?特徴を地域別にご紹介

七五三にかかる費用の相場は?衣装代や食事代、お祝い金など

 

 

 

まとめ

●七五三は、子どもの健やかな成長を願い、無事に節目を迎えられたことを神仏に感謝する行事です。平安時代の宮中行事が起源とされ、3歳の「髪置」、5歳の「袴着」、7歳の「帯解」の儀式に由来します。

 

●筥迫や志古貴、懐剣、簪などには、「健やかに育ってほしい」という、子どもへの祈りが込められています。

 

●七五三の小物は、正しい位置に丁寧に身に着けることで、その意味がいっそう引き立ちます。箱迫は襟元に、志古貴は帯の下に、懐剣は袴の左側に差すなど、それぞれの配置には美しさと所作の意味があります。当日は小物の位置を整えながら、感謝と祈りの気持ちを込めて装いを仕上げると良いでしょう。

 

茨城県の村松虚空蔵尊は平安時代に空海(弘法大師)によって創建された寺院です。

 

茨城では「村松の虚空蔵さん」と呼ばれて親しまれ、七五三をはじめ、十三詣りやお宮参り、節分追儺式など様々な年中行事で護摩祈願を行なっています。

 

ぜひご来山ください。