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疱瘡神とは?疱瘡神にまつわる話や歴史をご紹介

2021年01月12日

疱瘡神とは?疱瘡神にまつわる話や歴史をご紹介

 

Wikipedia「疱瘡神」より 「佐賀県立図書館蔵『種痘之図』」

※疱瘡神の連れている子供(右下)に牛痘児が種痘(予防接種)をしようとしている図

 

 

こんにちは!茨城県の村松山虚空蔵堂です。

 

疫病が流行ると、日本国内はもちろん海外でも疫病を起こすのは疫病神や悪魔で、退治しようとしたり災いから守ってくれる神仏を祀ったりしてきました。

 

2020年のコロナ禍においては、アマビエをはじめとして今までに疫病退散のご利益があるとして祀られた神仏・妖怪などに、改めて注目が集まりましたよね。

 

そんな中で、今回注目したいのは「疱瘡(ほうそう)神」です。

疱瘡神は疫病神とされていながら、一度迎え入れておもてなしをし、お帰りいただく神様として知られています。

 

なぜ疱瘡神は厄払いされるのではなく祀られるようになったのか、紐解いていきましょう。

 

 

疱瘡神の仕業と考えられた「疱瘡」とは?

疱瘡(ほうそう)神の「疱瘡」とは、そもそも何なのでしょうか。

 

「疱瘡(ほうそう)」は別名を「痘瘡(とうそう)」「天然痘(てんねんとう)」とも呼ばれる、天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つを指します。

 

疱瘡は、古くは紀元前から感染した履歴が確認でき、伝染力が強く、時に死に至らしめることもあるとして人々に恐れられていた病。

急な発熱や四肢痛に始まって全身に渡る発疹が出るのが特徴です。

 

約2000年に渡る長い間、人々の頭を悩まされていた疱瘡(天然痘)。

医療の躍進によるワクチン開発をもって、WHOは1980年(昭和55年)5月に天然痘の世界根絶宣言を行いました。

なお、その後日本国内での発症例はありません。

 

裏を返せば、医療が発達するまでただ安静にして自然治癒もしくは寛解(かんかい:緩やかに症状が落ち着くこと。治癒と違い再発する可能性もある)するのを待つしかなく、その症状から神仏を祀り祈祷をささげることが浸透した、といわれています。

 

 

疱瘡神とは?その正体やさまざまな説をご紹介

では、日本における疱瘡神について話を戻しましょう。

疱瘡神は人々に厄災をもたらす「疫病神」のひとつで、子供を中心に疱瘡という疫病をまき散らすとされています。

 

また、疱瘡神はひとつではなく複数おり、日本各地でその災いをもたらしているとも言われていました。

 

さらに一部の地域では疫病神ではなく妖怪だという言い伝えもあり、江戸時代には怪談の登場人物としても知られていました。

 

いずれにしても疫病神として病気を広め、厄災をもたらす悪神であるとされていますが、他方で疫病を広めることで人々の信仰に対する気持ちを引き締め、信心深い人には手を差し伸べるという側面も知られています。

 

単なる悪神ではないといわれる理由として、次のような逸話や昔話があります。

 

●疫病神であるにも関わらず、山奥で一宿一飯の恩義を受けた疱瘡神(老婆の姿をした疱瘡婆とも呼ばれる)が、その家には疱瘡を広めなかったから。

また、かかってしまった疱瘡を持って帰ったともいわれることから。

 

●ある村で疱瘡がはやり、村中のほとんどの子どもがかかってしまった。

その村の中に三右衛門という疫病神である疱瘡神を信心深く祀っているものがおり、当初は三右衛門の子どもの病状が一番悪かった。

しかし疱瘡神にきちんと対応したことで次第に快方に向かい、疱瘡神が次の場所に指定した家へきちんと対応するよう手紙を書いたことで、次の家では疱瘡神にきちんと対応できて子どもは軽症で済んだことから。

 

その他にも逸話や怪談、言い伝えはありますが、他の話にも共通しているのは「疱瘡神は、ただ厄災をばらまいている訳ではなく、信心深くもてなせば厄災を退けてくれること」。

ひいては「信心深い気持ちを忘れないように厄災をもたらしている」という姿勢の神様であるということです。

 

異形のものを祀るのではなく、子を抱く母や女性をかたどったご神体を疱瘡神として祀っているのは、極悪ではない、慈悲の心もある神であることの裏付けかもしれませんね。

 

また、疱瘡神は赤い色が苦手とされており、赤べこやさるぼぼといった厄除けの郷土品が赤いのも、疱瘡神が関係しているという説もあります。

 

 

疱瘡神を祀る行事や神社もある

赤羽八幡神社 疱瘡神社

単なる悪神ではないという言い伝えの多い疱瘡(ほうそう)神。

実は疫病神とされる疱瘡神を祀る神社仏閣が全国にあるのはご存知でしょうか。

 

一番有名なのは、その名も「疱瘡神社」。

疱瘡神社は一か所だけでなく、全国に存在しています。

 

例えば広島県南区の「疱瘡神社」は、疱瘡で亡くなった平清盛の側室 常盤御前の娘である、通称「天女姫」が埋葬された地に建てられたとの言い伝えが残っています。

 

神奈川県には、三浦半島の総鎮守として知られる海南神社にも「疱瘡神社」があります。

こちらには源為朝が祀られていますが、疱瘡が流行した時期に源為朝のいた伊豆大島だけは流行しなかったことから、「疫病を跳ねのける力が源為朝にあった。その源為朝の魂が三島に降り立った」といわれています。

 

また、疱瘡神祭という行事もあり、無病息災を願って祝詞がささげられています。

 

そのほか、千葉県や和歌山県にも疱瘡神を祀っていることで有名な神社仏閣があり、疱瘡が流行したことがある地域という共通点があります。

 

古くから疱瘡以外にも様々な疫病が流行し、そのたびに「無病息災」や「疫病退散」のご利益がある神様、仏様等に人々は祈りを捧げ、手厚く祀ってきました。

 

2020年のコロナ禍が長期化するにつれて、過去の疫病を払い、厄除けのご利益が期待できる神様などが今まで以上に注目を集めることに。

アマビエが一躍有名になりましたが、虚空蔵堂の裏手にある「鐘馗霊神堂」に祀られている、鍾馗(しょうき)様も疫病除けの神様として知られています。

京都では疱瘡は鐘馗様のいる家には寄り付かない、と瓦屋根にそのお姿を模して、厄除けを祈願したという言い伝えもあります。

 

もちろんきちんと祀られている神社仏閣を訪れ、改めて今までの報告としてのお参りを行うことができれば最善なのですが、そのお姿を模した瓦屋根やお守りでもご利益は変わらないといわれています。

 

 

疱瘡神は悪神ではなく戒めの疫病神という見方も

●疱瘡は日本のみならず世界中のいたるところで発生した、天然痘ウイルスに依る伝染病です。
1980年(昭和55年)にWHOによる世界根絶宣言が発表されましたが、それまでわかっているだけでも約2000年もの間人々を苦しめており、結果として様々な信仰の礎となった部分もありました。

 

●疱瘡神は疫病神のうちのひとつ。
人々に伝染力の強い疫病をもたらす悪神として知られている一方で、きちんともてなすことで疫病を軽減したり、もたらさないようにしたという言い伝えも。
「人々の信仰心が不足することを戒める神」という要素でも知られています。

 

●疱瘡神や疱瘡にまつわる人々を祀った神社仏閣もあります。
また、2020年のコロナ禍においては疱瘡をはじめとして様々な無病息災・疫病退散のご利益がある神様・仏様に対し注目が集まっています。
なお、虚空蔵堂にも鍾馗様が祀られており、無病息災・疫病退散の祈願に訪れる方がいらっしゃいます。

 

厄除け・厄払いはぜひ茨城県の村松山虚空蔵堂へ。

茨城県の村松山虚空蔵堂は、平安時代に空海(弘法大師)によって創建された寺院です。

 

当山本堂の裏手には鐘馗霊神堂があり、お堂の中には鐘馗霊神の絵馬が祀られています。(諸堂・境内案内図はこちら

延宝三年(1675)に伝染病が大流行した時、鐘馗霊神の絵を奉納したところ、大流行が治まったと伝えられ、今も多くの人が参拝しています。